紅い月が離れるとき
「暁ぃー…?」
「柚苗!」
暁は昨日とあまり
変わってなかった。
ただ,点滴が増えていた。
「…熱は?」
「まだ,あるかなあ?」
点滴が増えても,
治療を始めても,
辛いコトはあるんだ…。
「昨日よりは下がったよ」
「ホント!?」
良かった…,
治療が効いてるんだ,きっと。
「今日ねっ,
あたしの雑誌が
発売されたのっ!
ほら,明後日の番組の
取材の」
「すごっ!
"イケナイ若者"って
おれ知ってるし。
見せて,見せて」
暁は目を輝かせて
あたしの雑誌を
読んでくれた。