紅い月が離れるとき


『綾子っ』


少し,声が震えた。


『いいなあ,聖名は』


『どうして…?』


自然かな…おかしくないかな…
震えてないかな…。


とにかく,不安でいっぱいで
台詞がスムーズに出てるかさえ
わからなくなっていた。


とりあえず…とりあえず,
台詞を言うだけで
精一杯だった。


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