紅い月が離れるとき


「そっか,無菌室…」


「簡単に言えば,ね」


「それで,暁の部屋は?」


「うん,案内するよ」


平口さんは2階上の
4階の大きな病室に
案内した。


「ここよ。
入る前に手袋とこれ着けて」


手を洗い,ポンチョみたいのを
着て,手袋を着けて,
マスクを着ける。


暁に会うだけなのに…
こんなことしなきゃ
いけないだなんて。


部屋のなかは,
ビニールが暁のベッドの
周りに張ってあった。


「暁ぃ~…?」


「柚苗。
なんかオレ,大変なことに
なっちゃってんだけど(笑)」


暁は日に日に
痩せていくのが分かった。


少しやつれた顔で
笑う暁を見るのが
辛かった。


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