紅い月が離れるとき


そんな日が何日も
何週間も続いた。


暁はいっこうに
簡単に言えば"無菌室"
の中にいるし,
あたしのドラマ撮影のほうも
どんどん忙しく
なっていった。


日によっては,
病室に行けない日も
あった。



それだけでなんかもう,
寂しかったり
不安だったりするのに,
暁は時々発作をおこして,
あたしはもっと不安に
なったりもした。


「暁ぃ,柚苗だよー…」


最近は,よく寝ている。

強い薬で疲れてるんだ,
って平口さんから聞いた。


この日もそうだった。


「また寝てるよ…。
ま,元気なだけいいんだけど」


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