紅い月が離れるとき


暁の眠ってる姿を見ると
健康なんじゃないかって
思うときがある。


それでも手足は
徐々に痩せていって,
暁はいまあたしの体重
くらいしかないかもしれない。


「…ん」


「あ,起きた?」


「まあ…。
最近来るの,遅いよな」


「いつも暁が寝てるから
気付かないだけでしょっ」


「…ははっ」



暁は,良くなっていない。

それは,見た目もそうだし,
内面から見ても,
絶対にそうだった。


だって,明るく
なくなった……。

あんまりしゃべらなく
もなった……。


それなのに暁はいつも


「オレは平気!
柚苗は撮影のことだけ
考えてっ?」


って言うんだ。


< 86 / 100 >

この作品をシェア

pagetop