紅い月が離れるとき
暁の眠ってる姿を見ると
健康なんじゃないかって
思うときがある。
それでも手足は
徐々に痩せていって,
暁はいまあたしの体重
くらいしかないかもしれない。
「…ん」
「あ,起きた?」
「まあ…。
最近来るの,遅いよな」
「いつも暁が寝てるから
気付かないだけでしょっ」
「…ははっ」
暁は,良くなっていない。
それは,見た目もそうだし,
内面から見ても,
絶対にそうだった。
だって,明るく
なくなった……。
あんまりしゃべらなく
もなった……。
それなのに暁はいつも
「オレは平気!
柚苗は撮影のことだけ
考えてっ?」
って言うんだ。