紅い月が離れるとき
ついに,
ドラマの撮影が終わった。
花をたくさん貰って,
打ち上げもやって,
あとは記者会見的なのを
やって放送を待つだけだった。
記者会見を間近になった,
ある日のこと。
あたしのケータイが,
スタジオに響いた。
「ユズナちゃん,
ケータイ鳴ってるよ」
「え?」
《着信 平口さん》
あたしは,平口さんに
ケータイの番号を教えてた。
平口さんがいうには,
暁はもう危ないらしい。
だから,いつでも連絡が
とれるようにって。
「もしもし…?」
あたしは恐る恐る
電話に出た。
《柚苗ちゃん!?
いますぐ来れるかしら?
暁くんが――…》
暁……!