紅い月が離れるとき
出会ったのは,真夏。
そういえば…
もう半年以上経ってるんだ。
病室間違えて入ったら
そこにいたのが暁。
…もし,病室を間違え
なかったら。
…もし,おばさんの
お見舞いへ行かなかったら。
あたしたちは
会っていなかったんだね。
涙が,ひとつぶ流れた。
「暁ぃ……」
平口さんがやって来て
血圧やら脈やらを
計って,真っ青になる。
「柚苗ちゃん,
暁くんを見ててねっ!」
「はっ…はい!」
暁の手を握り締め,
何度も呼び掛けた。
「暁…しっかりして。
暁,大丈夫だから…」
なんにも大丈夫じゃ
ないのに,
とにかく元気づけようと
話しかけた。