紅い月が離れるとき
やっぱり紅い月は
あたしの大切なひと
を奪うんだ。
「柚苗ちゃん…へいき?」
「はい。もう大丈夫です」
「あなた――
モデルやってたんだって?」
そういえば…
言ってなかったんだっけ。
「はい」
「まえやってた,
ドラマに出てたのみたの。
それなのに毎日来てたのね」
「ははっ,ですね。
でも,もう辞めたんです」
「え?」
「あたしの夢が,
変わっちゃったから」
モデルはすごく楽しかった
けど……。
"やりたい"って思える
仕事を見つけた。
「夢…?」
「あたし,平口さん
みたいな看護士さんに
なろうって思って!」