紅い月が離れるとき
五年後…
「ハジメマシテ!
研修できた浅川ですっ」
「はじめまして,
岡崎です」
「中村です」
「川下です」
たくさんいる
看護士さんのなかには
知ってるひともいたけど
いちばん会えてよかった
と思ったのはやっぱり…
「おはよ,柚苗ちゃん」
平口さん。
五年前となんにも変わらず
笑顔であたしの名前を
呼ぶの。
「浅川さんの担当は
平口さんに任すわ」
そう言ってくれたのは,
五年前のことを
知っていた看護士さん。
平口さんは,微笑んで
「よろしくね」
と,手を差し延べた。