恋愛ノスタルジー
気付いた恋
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「えーっ!クリスマスイブは彼氏いない友人集めて女子会開こうと思ってたのにぃ!よりによってどうしてうら若き乙女がイヴから画のアシスタントなんかに行かなきゃならないのよ!?そんなの独りで描けっつーの!」

12月も半分が過ぎたある日の昼休み、美月がスマホの向こうで叫んだ。

「ごめん!私も凌央さんから要請がない場合は参加しようと思ってたんだけど、泊まり込みでアシスタントすることになって……本当にごめん!」

社食の一番南側のテーブルの端で、私は美月の怒り口調に肩を縮めた。

やはり個展に出展する作品の製作作業が立て込んできていて、週末は凌央さんのアトリエに泊まり込む事になってしまった。

「アシスタントは自分から志願したし、徹夜で仕上げる凌央さんをサポートしたいの」

当然スマホの向こうの美月には見えるわけもないけれど、私はガバッと頭を下げるとギュッと両目を閉じた。

「……圭吾さんにはもう言ったの?」

「今夜帰ってきたら言おうと思ってるの」

私がこう答えると美月は一呼吸おいた後、少し低い声を出した。

「圭吾さんとはその後どうなったのよ」

その後とはあの事件の後ということで、あの事件とは圭吾さんとのキス事件を指している。

窓の向こうに建ち並ぶビルを落ち着きなく眺めながら、私は呟くしか出来なかった。

「どうもなってない……」

そう。あの日以降私と圭吾さんはお互いにギグシャグしてしまい、ろくに顔を合わせていなかった。

私は仕事が終わると凌央さんのアシスタントに入っていたし、圭吾さんはといえば元々忙しい人で帰宅するのは深夜だったら。
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