恋愛ノスタルジー
美月……私、いつから圭吾さんを好きになっちゃったんだろう。

凌央さんを好きだったのに、いつの間に圭吾さんを愛してしまってたんだろう。

分からない。本当に分からない。

でも私は……私は圭吾さんが好きだ。

誰よりも。

立花さんが私の肩のバッグを見つめた。

「峯岸さん。そのバッグに自宅の鍵や財布は入ってる?」

「はい……」

「なら、他の荷物は後でも大丈夫よね?」

「……立花さん……?」

「行ってあげて。夢川社長のところに。凌央の事は私がするから」

……信じられなかった。

私の事を好きじゃないはずの立花さんが、私を助けてくれようとしているなんて。

「……いいんですか?」

立花さんがしっかりと頷いた。

「峯岸さん。私、あなたを嫌な人間だと思ってたの。婚約者を騙して、凌央も騙して甘い汁を吸う……。でも話をして分かったわ。あなたは私の想像とは違う人間みたい。だから……あなたを傷付けたお詫びをさせてください。それに……凌央の役に立ちたいから」

「立花さん、ありがとうございます!」

私がガバッと頭を下げると、立花さんは決まり悪そうに首を振った。

「あの日私、眼が覚めました。……夢川社長のお早いご回復をお祈りしています」
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