恋愛ノスタルジー
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「彩!ご家族は大丈夫だったか?!」

凌央さんの家につくと私は凌央さん本人と立花さんに迎えられた。

「お陰様で大事には至りませんでした。ありがとうございます」

私がペコリと頭を下ると、後ろから立花さんが私だけに聞こえるように口を開いた。

「凌央には言ってないから」

……立花さん……。

きっと彼女は、いずれ私から伝えるべき事を自分が先に口に出すのは良くないと思ったのだろう。

「ほんとに色々とすみませんでした」

そんな私の頭を凌央さんはクシャリと撫でて笑った。

「気にするな。それより彩が掃除や洗濯、料理をやってくれたお陰で助かったよ。な、優!」

私から視線を立花さんに移して、凌央さんはいたずらっぽく笑った。

「……ええ、凄く」

それから凌央さんは優さんの頭を手の甲で小突くと、

「仕事はデキるけど優は料理が下手でな。いや、料理だけじゃなくて掃除も」

「り、凌央っ!」

「はははは!」

立花さんが顔を赤くして凌央さんの胸を拳で叩き、凌央さんはそれを避けるように身体を仰け反らせた。

……なんだか、お似合いだな。

つい最近の事なのに、二人のキスシーンが遥か昔の事のように感じる。
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