恋愛ノスタルジー
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代官山駅から程近いジュエリーショップ《アルテミス》は、クリスマスシーズンの為にいつにも増して賑わっていた。

店内はクリスマスを意識したディスプレイがなされており、まさに幸せいっぱいの空間にしあがっている。

それらを見回していると、まるで砂糖菓子のように可愛らしい店員さんが私と圭吾さんを見て微笑んだ。

「いいですねぇ~、私もこんな素敵な彼氏さんとクリスマス過ごしたいですぅ」

当たり障りのないようにお礼を言うも、胸は苦しい。

お店の中にはカップルが沢山いるにも関わらず、圭吾さんはその中のどの男性よりも目立っていた。

彼氏連れの女性ですら圭吾さんに眼を奪われているのは気のせいではないらしく、

「彼氏さん、かっこいいですね!みんな見てますよぉ」

先程の砂糖菓子店員さんが小声でそう言い、それに気づかない圭吾さんは辺りを見回していた。

「彩、どれがいい?」

……正直分からない。

だって私は花怜さんじゃないもの。

彼女の顔も知らず、好みも分からないのにどれがいいかなんて答えられない。

でもこう問いかけて私を見下ろす圭吾さんは少し照れ臭そうだ。

おまけにどうしていいか分からないといったように片手で口元を覆って、

「俺はこういうものに疎くて」

ああ、花怜さんは圭吾さんにこんな顔をさせるんだ。
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