恋愛ノスタルジー
称賛を込めて見つめる私を暫く張り付いたように見つめていたけれど、やがて凌央さんはクッと笑うと私の手を掴んだ。
「……来い」
大きくて温かい凌央さんの手の感覚に、思わず心臓が跳ね上がる。
嬉しい……手を握られたのが嬉しい……!
「なにアホみたいな顔してんだよ。早く来い」
甘い雰囲気はまるでないけど。
「あれだ。あれが硝子棒」
リビングに連れていかれ、凌央さんの指差したテーブルを見ると、何か細く透明なものが見えた。
近寄ってよく見ると、片方の端が球になっている正真正銘、ガラスの棒だった。
「なにこれ」
「だから硝子棒だよ」
「ほう……」
どうみても何かをかき混ぜる道具に思えるけど……。
イマイチ響けない私はガラスの棒を凝視して考えた。
中が空洞でインクなんて入っていないガラスの棒で、どうやって描くんだろう。
筆のようにこの丸い先端を、インクや絵の具に浸すとか?
だけどこのガラスが絵の具を吸うとはまるで思えない。
……うーん……。
私の表情を察して珍回答が飛び出すとでも思ったのか、凌央さんは笑いを押し殺しながら口を開いた。
「……使い方見せてやるから来い」
「は、はいっ。お願いします」
百聞は一見にしかずだもんね。
「……来い」
大きくて温かい凌央さんの手の感覚に、思わず心臓が跳ね上がる。
嬉しい……手を握られたのが嬉しい……!
「なにアホみたいな顔してんだよ。早く来い」
甘い雰囲気はまるでないけど。
「あれだ。あれが硝子棒」
リビングに連れていかれ、凌央さんの指差したテーブルを見ると、何か細く透明なものが見えた。
近寄ってよく見ると、片方の端が球になっている正真正銘、ガラスの棒だった。
「なにこれ」
「だから硝子棒だよ」
「ほう……」
どうみても何かをかき混ぜる道具に思えるけど……。
イマイチ響けない私はガラスの棒を凝視して考えた。
中が空洞でインクなんて入っていないガラスの棒で、どうやって描くんだろう。
筆のようにこの丸い先端を、インクや絵の具に浸すとか?
だけどこのガラスが絵の具を吸うとはまるで思えない。
……うーん……。
私の表情を察して珍回答が飛び出すとでも思ったのか、凌央さんは笑いを押し殺しながら口を開いた。
「……使い方見せてやるから来い」
「は、はいっ。お願いします」
百聞は一見にしかずだもんね。