御曹司様はシンデレラを溺愛する
1、御曹司様に気に入られてしまいました
身代わりアルバイトをすることになりました
「姫花、お願いがあるの」
今、目の前で両手を合わせ片目を開けながら、可愛く首を傾げている親友がいる。
「なに?優里亜らしくない頼み方。怖いんだけど…」
「怖いって酷い…うっう」
合わせていた両手を、顔を隠すように覆い泣き落としが始まった。
もう、面倒くさい。
親友の誘いだからと貴重な時間を割いて待ち合わせのカフェに来たというのに…
「泣き真似はいいから、本題を話したら?」
「…あっ、バレてたか。うふふ…さすがは親友よね」
けろっと白状して、悪びれもなく可愛い笑顔を浮かべた優里亜に呆れて言葉も出てこないのをいいことに、彼女はマイペースに話を続けた。
「今度、パーティーがあるの。いつものようにお父様の顔も立てて出席するつもりでいたのよ。でもね、そのパーティー合同お見合いらしいのよ」
はぁっ?
御曹司、お嬢様が合同お見合いなんて聞いたことがない。
そう、目の前にいる優里亜は明治時代から続く由緒正しい家柄の出で、現在いくつものマンションと土地を所有する加藤家のお嬢様なのだ。
そんな優里亜との付き合いは小学生に上がる時からで、父に連れられて加藤家にお邪魔した時から始まった。
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