御曹司様はシンデレラを溺愛する
ホールの天井中央には、大きなシャンデリアがキラキラと輝き照らしている。
思わず、見たこともないお城のような豪華さに別世界に来てしまったと足が竦み、動けなくなっていた。
上品な方々があちらこちらで談笑中だったが、こちらに気がついた男性達は、興味津々というように私と彼を見ているようだった。若い女性達は頬を染めコソコソと隣同士で口元を隠し何か話し、敵意ある視線が私に向けられている気がする。
身を潜め大人しくしている予定だったのに、注目を浴びているのは隣の彼のせいだろう。
「…ありがとうございました」
重ねている手を外そうと握られた手から引いた瞬間、追いかけるようにまた手を握り返されてしまう。
戸惑い、彼を見上げる。
「……あの、手を」
「最後までエスコートさせてください」
いやいや…周りの視線に気がついているでしょう!
「最後までとは?」
「とりあえずは、パーティーが終わるまで」
ニコッと笑う彼の笑顔は、凶悪なまでにタチが悪い。
見惚れている間に、手を離す気のない彼は私を誘導するように歩き出し話を続けた。
「短い時間ですがあなたを知りたい。そして、僕を知ってほしい」
熱い眼差しで私を見つめている。