御曹司様はシンデレラを溺愛する
合同お見合いには、危険な人がいた
受付を済ませ広間に入ると、立食形式で並んでいるテーブルは部屋の中央に鎮座している。
豪華な料理がいくつも並んでいるのを見つけ、ゴクッと喉が鳴った。
隣で、クスッと笑う声にしまったと頬を染め上目遣いで尋ねる。
「聞こえてしまいましたか?」
「えぇ、可愛らしい音でした」
喉が鳴るのに可愛らしいもないだろう。
この彼は、可愛らしいといえば女性は喜ぶと思っているのだろうか?
「合同お見合いは初めてのことで緊張しています」
まさか、豪華な料理に喉が鳴ったとは恥ずかしくて言えないし、着飾った男女の数に驚いて緊張しだしたのも本当だった。
「大丈夫ですよ。誰もあなたに近寄らせませんから、僕だけを見ていてください」
また、悩殺に匹敵する極悪な笑顔と甘いセリフ、そして私の頬を撫でて答える彼は本当にタチが悪過ぎる。
完全に、私はこの会場の女性達を敵に回してしまったらしく、わざとらしく陰口が始まった。
隅でおとなしく料理を堪能できるのだろうかと不安になっていると、数人の女性達が笑顔で近寄ってきて私の存在を無視して彼を取り囲んだ。
「こんばんは、尊様」
「こんばんは、お嬢様方」
にこやかに挨拶を返している彼の背に身を潜めた。