御曹司様はシンデレラを溺愛する
「そうですか」
気の無い返事をしながら、視線はテーブルに向かったまま。
「そんな態度を取られると行かせたくなくなりますよ」
うっ…困る。
もう、お腹はぺこぺこだ。
「では、どうすればこの手を離してくださいますか?」
「そうですね…尊、と呼んでお願いしたら、この手を離してあげれるかもしれません」
優しく見えたのに、実はこの人性格悪い?
でも、言わないとこの恋人繋ぎは解けないのよねと彼の顔を伺った。
目の前の彼は一度だけ瞬きをしながら頷き、そうだと答えている。
もう、どうにでもなれ…
「尊様、お願いですから手を離してください」
「その可愛らしい声で尊と呼びすてです」
握っている手の甲を彼の口元に持って行き、今にも唇が触れそうなり、慌てて彼を呼んだ。
「た、尊、手を離してください」
なんの羞恥プレイだ。
チュッと甲に彼の唇が触れ、離れていく時間がとても長く感じ頬を赤らめながらも周りからのさまざまな視線がとても怖くて仕方ない。
厄日だ。
これで料理を食べれなかったら呪ってやる。
握っていた手から解放されてホッとしたのも束の間
「約束ですからね」