御曹司様はシンデレラを溺愛する

その言葉には2つの意味があると、直ぐに気がついた。


尊と呼び捨てたから手を離してあげた約束。


そして、彼は約束を守ったのだから、私にも約束を守れと言っているのだと…


なんて、腹黒さだ。


彼は、私をその場に残し、知人らしき人達の輪に入って行った。


食べるだけ食べたら、逃げようと決心する。


彼だって、逃げた女を追いかけるほど女に不自由してないだろうと言い訳して、真っ先に向かった先は、ピンク色したローストビーフ。


肉、肉…
いつ以来食べていないかも思い出せない。


兎に角、お皿の上山盛りに乗せ次に生ハムとチーズも山盛りにする。


背後から、お嬢様方が私にだけ聞こええる声で嘲るように通っていく。


お淑やかそうに見えて、怖いと肩を竦めながら次のお皿にウニのコンソメジュレ、オマール海老のロースト、サーモンのマリネでいっぱいになり、ここでウエイトレスのアルバイト経験が役にたち、片手にふた皿を持つとまだまだともう一皿をもう片手に持った。


だが、そうすると何も乗せられない事に気がついた。


空のお皿に盛るには、一旦どこか安定した場所にお皿を置いてからじゃないと手が開かないと辺りを見回すが、そんな場所は近くにはなかった。


困った…
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