御曹司様はシンデレラを溺愛する
長い足を組み、背もたれに体を預けて首を何度か大きく回し、こちらを見た瞬間に肩を抱かれていた。
そして、肩を引き寄せる彼の腕の中にとらわれてしまう。
あっというまの出来事に、言葉もなくただ口をパクパクとさせて彼を見上げる。
妖艶な、そして意地悪く笑う口元が見える。
「俺の見える場所にいろっと言っただろう」
さっきも違和感を感じていたけど、彼の口調が変わっている。
僕と言って柔らかな口調だったのに、今は俺様だ。
これが、彼の本性なのか!
先程とは別の男性のようで唖然としていると、顎を彼の指に掴まれクイっと上がり、今にも触れそうな唇の距離にドキッとする。
これが、顎グイというやつなのか?
「どんな仕置きが望みだ?」
彼の吐息が唇を撫ぜていく。
ゾクッと背筋が震え、なんとも言えない危機感に彼の胸を押したが、逆に背を抱かれ更に体の距離が縮まってしまった。
「離して」
「その可愛らしい唇を塞いでしまおうか?それともあそこに戻って恋人宣言もいいかもな…合同見合いの初のカップル成立に、年寄りどもが喜ぶぞ」
「どっちも嫌よ」
「嫌か、俺を拒む女なんて始めてだ。ますます気に入った」