御曹司様はシンデレラを溺愛する
「気に入らなくていいのに」
ボソッと本音が口に出ていた。
「クッ、面白い女。俺じゃ不満らしい」
そうじゃない。
気に入られても、私は優里亜じゃないから困るんだってば。
「落とし甲斐があるって事か!」
そう言った瞬間、唇を塞がれていた。
チュッチュと触れるキス。
初めてのキスに頭が真っ白になる私。
抵抗されないと知ると彼は、唇を喰み焦らすようにキスを深め、時折、彼の舌先が唇をなぞる。
高揚するキスに吐息が漏れる。
いつの間にか、彼のスーツの襟を掴みせがんでいるようにキスに応えたいた。
長い間続くキス、彼の手はいつの間にか私の頬を両手でで愛しむように包み、顔中のいたるところに唇で触れてきた。
「初々しい反応がそそる。このまま連れ去ろうか!」
どこに?
脳内に鳴る危険信号音に我に返った。
ドンと彼の胸を押したら、簡単に彼の腕の中から解放されて立ち上がった。
「初めてだったのに…」
涙を溜め彼を睨みつけた後は、その場から駆け出した。
そして、広間を小走りで抜けホールに出るが、毛足の長い絨毯が、姫花の邪魔をして足元がとられるが必死に階段まで向かった。