御曹司様はシンデレラを溺愛する
2、御曹司様が私を探しているそうです

御曹司様に身代わりがバレました




「尊様」


俺の車が横づけし停車すると、運転手がドアを開けたたので、すぐに車に乗り込み運転手に告げる。


「今の車を追いかけてくれ」


「かしこまりました」


だいぶ距離が開き、追いつけないとわかっていても言わずにはいれなかった。


くそ…
逃げられた。


女に逃げられた事なんて初めてだ。


俺の見かけにも、家柄にも靡かない人間がいるなんて想像もできず、キスの途中で拒まれた時は信じられい思いでしばらく思考が止まったままだった。


だが、視線は彼女の動きを追いかける。


まるでスローモーションのように彼女の動きが見えるのに、俺の腕の中から簡単に逃げ出しテラスから広間へ駆け込んでいる姿をとらえていた。


そこで初めてやっと我に返り、無意識に彼女を追いかけていた。


着物では思うように走れないからか、距離を縮めるのは簡単で、彼女が広間を出て階段を降りようとした時は、俺は彼女を捕まえられると確信して彼女を呼び止めた。


俺の声に反応するように急いで階段を駆け下りた為、途中で彼女の草履が片方抜けた瞬間を階段の上から見ていた。


さぁ、取りに戻って来い。


俺の知っているお嬢様という生き物なら必ず戻ると余裕ぶって一段、一段降りていった。
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