御曹司様はシンデレラを溺愛する
話を聞いたら、そんな表情でいられないよ。
と、心でつぶやきながら本題を話始めた。
「優里亜が出席したって事実があればいいだけだったよね。でも、何故だか、ある男性に気に入られてしまったの。私は優里亜の身代わりだし、料理を食べれればよかったのに、その彼に私が加藤 優里亜だって思われたまま帰ってきたんだけど、逃げてきたから、多分、もう、忘れているよね⁈」
最後の声は、自信なさげに呟いていた。
「……草履を無くしたって、その彼から逃げてきたから?」
「うん、本当にごめん。弁償するって言ってもお金もないけど、バイトして少しずつ返していくから許して」
「草履なんていいわよ。そんなことよりどんな人?」
「えっ?」
「姫花を気にいってくれたその彼よ」
「あのー優里亜さん、加藤家にとって一大事になったりしない?」
「草履1つ無くなったところで一大事にならないから」
「いや、そうじゃなくて…身代わりがバレたら加藤家にとってまずい事にならないかって言ってるの」
「あぁ、大丈夫。正式なパーティーじゃないし、合同お見合いなんて、息子、娘に親として出会いの場を提供してあげているって自己満足でしかないんだから」