御曹司様はシンデレラを溺愛する
「お仕置き?何、それ…面白いワードが出てきたわね。その彼にお仕置きされたの?」
キスされたなんて言ったら、大笑いされる。
「身代わりがバレたら大変だと思ったから、逃げてきたの」
「バレるようなお仕置きって、何されそうだったのかしら?」
優里亜がワクワクしている。
「何って…そう、お酒を飲まされそうになって、酔ってポロっと喋ったらまずいでしょう⁈だから、逃げてきました」
もう、勘弁してよ。
キスしたなんて言えないんだから…
「その時に、草履を無くしたの?」
「うん、追いかけてくるから、絨毯に足をとられて脱げかけて、そのまま階段降りてたら脱げて、拾ってたら捕まりそうだったし…」
慌てて、口元を押さえだけど遅かった。
「ふーん、追いかけてくるほど気に入られたんだ。草履を片方残してくるなんて、まるで和製シンデレラね」
「やめてよ。料理も食べ損ねたし、捕まっていたらって笑えないんだからね」
「彼に抱かれていたかもね」
優里亜の確信を得た一言に、無いとは言えなかった。
あのままキスに流されていたら…
あの時、彼はどこまで本気でいたのだろう?
今だに、彼の唇の熱が忘れられないで、無意識に唇をなぞっていた。