御曹司様はシンデレラを溺愛する

そんな捨て台詞を残して、優里亜は帰って行った。


それから10日経った頃、一大事だと優里亜から連絡があった。


「大変よ。昨日連絡があって突然、麻生からパーティーの招待状が届いたの。それが今日あるのよ」


「どうして?」


麻生の名前にドキッとして、恐る恐る聞いた。


「麻生 尊に、加藤 優里亜が名指しで呼ばれたの。接点なんてないからお父様は驚いていたけど、婿候補には最高だからって喜んでいるわ」


「優里亜が行くんだよね?」


「お父様も一緒だから、身代わりは無理ね。何か言われたら、うまくごまかすわ」


「…うん、頑張ってね」


なんとなく、複雑な心境のまま優里亜を励ましていた。





「本日はご招待ありがとうございます」


加藤家の主人、加藤 雅也が娘を連れ、麻生 尊に挨拶をしている横で、本物の優里亜は尊を値踏みするように見つめていた。


なるほどね。
姫花が言うように、物腰の柔らかさ、口調も穏やかでキリッとした目が素敵ね。姫花が一目惚れするのも納得だわ。


まぁ、姫花は認めてないけど、いいんじゃない。


優里亜が知る尊の噂通りなら、女に興味がないと聞いた。もちろん、男が好きとかじゃないが、女より仕事がいいという男だ。
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