御曹司様はシンデレラを溺愛する
「見つけられないように、頑張るわ」
彼が私を探しているなんて、ただの気まぐれに違いない。
隠れていればそのうち諦めるだろう。
そう思っていた。
☆
「須藤さん、ちょっといい?」
「はい、なんでしょう?」
「うちの会社に須藤 姫花って女性はいるかって問い合わせがあったらしいのよ。何か心当たりある?」
そう言われたのは、優里亜の電話から翌日の事だった。
派遣された会社で清楚員のアルバイトをチーム同士でしている。そのチーム長からの質問に、答えが詰まる。
まさか⁈
「ないです」
「そう、それなら警戒しないといけないわね。今、いろいろと物騒な世の中だから、気をつけてね。もちろん、会社の方は何も話してないから安心してね」
「はい、ありがとうございます」
それから数日経ったある日、いつものように派遣されたショッピングモールの従業員用の休憩所で、まったりとお茶を飲んでいた時だった。
「うちの会社、麻生本社と契約したらしいのよ」
「な、なんですか?その話詳しく教えてください」
「須藤さんも麻生本社の清掃員したいのかしら?」
したくありません。
だから、詳しく教えてほしい。