御曹司様はシンデレラを溺愛する

すると、警備室から数人の警備員さんが駆け足でバックヤードを通り過ぎて行く。


何があったのかしらとみんなキョロキョロしている。


今日は、平日で何もイベント等もない穏やかな日のはずなのにだ。


「何かあったんですか?」


警備員のおじさんを捕まえ尋ねると


「危険人物が来たらしい」


危険人物?


「爆弾とか包丁を持った人でも来たんですか?」


子供を持つ従業員が、慌て出す。
自分の子供は保育園や小学校に行っていても、ショッピングモールには、幼い子供を連れた人もいるから、自分の子供の事のように心配しているのだろう!


「いやいや、そんな物騒なものなんて、持ってないさ。なんでも偉い会社の役員らしいが、偉ぶったところもなく物腰の柔らかいいい男が、突然、来たらしい」


「警備のおじさん、そんな人が危険人物かい?」


「重要人物って言わなかったかな?」


「危険人物と重要人物とじゃ、えらい違いよ」


「そりゃすまん。言い間違えだ。突然の事でこっちも驚いて慌ててたんだ。警備を強化しないといけなから、わしはもう行くよ」


そう言って、警備のおじさんは、さっさと行ってしまった。
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