御曹司様はシンデレラを溺愛する
あんな傲慢な人いやだと思いながら、彼とのキスは今でも姫花の唇に残っている。
もう、他の人ではきっと物足りないと感じて恋する事ができないと思うほど、姫花のファーストキスは印象的だった。
偶然?だよね。
何かの視察で来たに違いないと思わないと、期待で苦しくなる。
彼が、私のどこを気に入ってくれたのかいまだにわからないから、自信が持てないのだ。
だから、忘れてほしいと思いながら、姫花を探していると聞いた時は心の奥底では嬉しかった。
一目惚れを認めたら楽になれるのに、相手が悪すぎる。
優里亜のような家柄のお嬢様なら、きっとお似合いなのだろうが、うちのようなぽっと出の成り上がりの家の娘が、気に入られたからと浮かれて側にいたら傷つくのは自分だとわかっている。
だから、最初から心に蓋をした。
だけど、こうして遠目でも彼を見てしまうとドキドキとして胸が高鳴る。
どうしているの?
届かない声を呟いた。
その時、彼が上を見上げた。
一瞬だけ、視線があった気がしたが、咄嗟に隠れてしまう。
目があった⁈
ドキドキが更に加速するのを止められないで、胸を押さえて鎮めようと押さえていた。