御曹司様はシンデレラを溺愛する

「須藤さん、どうしたの?胸を押さえて苦しいの?」


心配してチーム長が駆け寄ってきた。


その間に、歓声は姫花がいる同じ階からしだした。


「きゃー、こっちに来るよ」


エスカレーター側が騒がしくなってきた。


「ちょっと、苦しくなって」


まさかと思いながら、エスカレーターを見ていると人垣の中から背の高い男性の頭部が見えてくる。


「大変、医務室で休む?落ち着いたら今日は帰りなさい」


「はい、ご迷惑おかけしてすみません」


「いいのよ。お大事にね」


そう言われて、すぐにバックヤードに身を隠し、息を潜めて彼の行き先を伺った。


彼は警備員に囲まれて、通り過ぎて行くのに胸の高鳴りは、まだ止まらない。


早く、帰ろう。


モール内を警備員を連れて歩いている今なら、気がつかれないですむと姫花は高をくくっていた。


麻生 尊と目があった事を忘れ、帰宅したのだ。





何気に見た二階部分


一瞬だけ目があった女性は、すぐに見えなくなってしまったが彼女に間違いない。


警備員が邪魔で、動きづらい。


二階を見ながら彼女の姿を探して、エスカレーターに乗った。


何の為に、ここに来たか!


須藤 姫花に会う為だ。
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