御曹司様はシンデレラを溺愛する
「須藤さん、どうしたの?胸を押さえて苦しいの?」
心配してチーム長が駆け寄ってきた。
その間に、歓声は姫花がいる同じ階からしだした。
「きゃー、こっちに来るよ」
エスカレーター側が騒がしくなってきた。
「ちょっと、苦しくなって」
まさかと思いながら、エスカレーターを見ていると人垣の中から背の高い男性の頭部が見えてくる。
「大変、医務室で休む?落ち着いたら今日は帰りなさい」
「はい、ご迷惑おかけしてすみません」
「いいのよ。お大事にね」
そう言われて、すぐにバックヤードに身を隠し、息を潜めて彼の行き先を伺った。
彼は警備員に囲まれて、通り過ぎて行くのに胸の高鳴りは、まだ止まらない。
早く、帰ろう。
モール内を警備員を連れて歩いている今なら、気がつかれないですむと姫花は高をくくっていた。
麻生 尊と目があった事を忘れ、帰宅したのだ。
☆
何気に見た二階部分
一瞬だけ目があった女性は、すぐに見えなくなってしまったが彼女に間違いない。
警備員が邪魔で、動きづらい。
二階を見ながら彼女の姿を探して、エスカレーターに乗った。
何の為に、ここに来たか!
須藤 姫花に会う為だ。