御曹司様はシンデレラを溺愛する

『はぁ…』


電話の向こうの父親の声は覇気がない。


「突然のお電話でのご挨拶で申し訳ありませんが、彼女との結婚をお許しください。必ず、幸せにします」


私を膝の上に乗せたまま、頬を撫でながら勝手に親に結婚の承諾を得ようとする。


私の意思も聞かない、傲慢な男だ。


『…娘を頼みます。親の言う事も聞かない我の強い娘ですが』


「そんな事はありません。私は一目で彼女に恋をしました。彼女の良さは、裏表のないところです。はっきりとものを言うところも好きです」


『そう言って頂けると、親として言葉もありません。どうぞ、よろしくお願いします。姫花に代わってもらえますか?』


「えぇ、今代わります」


いやだと、首を左右に振るが、キリッとした目に睨まれては逆らえない。


「もしもし、お…『バカモン‼︎連絡1つよこさないくせに、かかってきたと思ったら結婚報告とは、心臓に悪い。元気そうでよかった』


第一声に驚いたが、優しい声は昔の父を思い出させる。


「心配かけてごめんなさい」


『お前が私を嫌っていたのはわかっていた。家に帰りたく理由もな』


「そうなの?」

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