御曹司様はシンデレラを溺愛する

モデル並みにすらっとした体型の彼は、オートクチュールのスーツを着こなしたイケメンだった。

身につけている物が、嫌味に見えないぐらい似合っている。


天は二物を与えずと言うけれど、外見だけじゃなく彼は地位も名誉も手に入れているハイスペック男子。


思わず、見惚れて立ち止まってしまっていた。


そんな私の前まで来た彼は、微笑む。


その笑顔に、落ちない女なんていないと知っているかの様に…


「パーティーに出席される方なら、僕が会場までエスコートしましょうか?」


そう言いながら、私に向けて手を差し伸べている。


威圧的ではないものの断れる雰囲気じゃないのは、彼から感じるオーラのせいではないだろうか…


「…お、お願いしてよろしいでしょうか?」


「もちろんです。こんな素敵な方をエスコートできて幸せですよ」


歯の浮いたセリフも嫌味に聞こえないのは、イケメンだからだろう。


ロビーの先に続く長い階段を彼にエスコートされながら一段一段と上っていくが、隣からの視線が気になって仕方ない。


「何かおかしなところがあるのでしたらおっしゃって下さい」


彼の顔を凝視できずに、階段の先を見つめながら尋ねてみる。

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