未解答アンサー

「なんやの？ うちひとりはしゃいで、なんかあほみたいやん」

「あほなんは違いないよな」

「けんか売ってんのか」



じとりと睨まれるも、思わずからりと笑う。

そんなキツイ言葉使ってもな、無駄やで。

なんだかんだ言うて、お前が楽しんでんのわかってるんやからな。



「ほらほら、次行くで」

「……うん」



こくんと素直に頷く水瀬の仕草が普段よりずっとオンナノコみたいで、いや、いつでも女なんは確かやけど、いつも以上にそう。

……どきどきする。



今日はデートと宣言した上で出かけとるだけあって、俺も水瀬もほんのちょっとだけやけど、いつもとちゃうところがある。

水瀬がそわそわとほんまはするつもりやった話をできひんことを気にしてるって、俺は知っとった。

でも、それでも模試の結果が出た時に「勝ったんは俺やで」と話を遮ったんも、俺やった。



そのせいで水瀬は今、心のどっかで不安に思ってるんやろう。

お互いにその内容を察しているから。

好きとか、嫌いとか。そういうのん。

相手の気持ちがわからんからしんどくて、苦しくて、叫び出してしまいそうなくらい走っても走っても引き剥がすことのできひん気持ち。



俺も胸のうちにあるから。

……わかるよ。