未解答アンサー
きっと水瀬は、この前の会話で俺が自分の気持ちに気づいとったんやって思ったんやろう。
でもほんまは違う。
俺だけが水瀬のことを好きなんやってずっと、ずっとそう思ってた。
でもあの日、あいつが嬉しそうに泣きそうに、笑うから。頰を赤く染めるから。
今までの俺たちの関係の証であるサイダーより優先した、大切な話やから。
もしかしたら、きっとって、俺は思って。
まぁそれで、調子に乗ってデートとか言ってもたんやけどな。
水瀬が俺のことを〝カッコイイ〟とか思ってないのは知ってるよ。
俺はそういうタイプやないし。
でも、それでもカッコつけたいねん。
余裕を装って、キメ顔で笑って、水瀬を翻弄するくらいの自分でおりたい。
それやのにとっさのことに反応できひんし、水瀬に素直に気持ちを伝えようとしてへんのも、いっつも頭真っ白になるから。
あいつの後ろ姿に見とれてるうちに、小テストで解答を書きそびれたことがあるなんて、絶対本人には言われへん。
ちっちゃい子に紛れてガラスに張りつきそうな勢いの水瀬。
そのつむじを見下ろしながら、情けない自分を思ってため息をこぼす。
はあ。こぽり。水中にいるみたい、気泡が浮かんでいきそうや。