国王陛下の極上ティータイム
そう考えたら、居ても立ってもいられなくなった。気持ちが逸って仕方ない。

今すぐ、ランティスに会いたい。


そんな気持ちで胸がいっぱいになっていくクラリスを知ってか知らずか、ブランはお使いを頼んだ。

「頼んだ」と手渡されたメモ書きには沢山の茶葉の名前が書かれていた。

クラリスは眉間に皺を寄せてメモ書きから顔をあげた。

「そう怒るな。クラリス、これも仕事のひとつだ」

大真面目な顔をするブランを訝しむようにクラリスは見つめ返した。仕事のひとつと言いながら、本当は面倒だから頼んだんじゃないかと聞きたい気持ちでいっぱいだ。

けれどブランの言う通り、仕入れも大切な仕事のひとつであることは確かにそうだ。どの茶葉にするのか見極める勉強にもなる。

そう心の中で折り合いをつけ、クラリスは市場に向かうことにした。

茶室から正門に向かう途中の回廊で、不意に誰かからの視線を感じて溜息を吐いた。


「何をしているのです、こんなところで」


その人物はへらりと笑ってこう答えるのだ。


「何って、休憩?息抜きかな」


会いたいとは思っていた。

会いに行きたいと思っていた。

けれどこんな形で会えるとは思ってもいなかった。

先ほどまで自分の執務室にいたはずのランティスは、回廊の窓辺にその背を預けて柔らかく微笑んでいる。穏やかな午後の日差しに透けるように、ランティスの黄金の髪が柔らかく輝いた。

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