国王陛下の極上ティータイム
それから並べられた茶葉の上に、缶に入れられた茶葉がいくつも置かれた。


「左から、ジルダ、キーム、エメ、アーサ。ジルダとキームは西産、エメはルネット産とサンドリア産。アーサもサンドリア産だ」


そして「すまないが、手に入らないものもあってな」と表情を曇らせた。


「ジルダとアーサのフォルスト産なんだが、入荷できていなくてな」

「そうですか」


すまないと言われたものの、仕入れられていないなら仕方がない。そう思って「また買いに来ます」と笑った。


「いつならば入荷していますか?」

しかし店主は表情をさらに暗くした。


「それが、分からないんだ」

「分からない?」

「ここ3、4日のことなんだがな、外国からの茶葉が入ってこないんだよ」


国内の物なら全て入ってくるのにと店主は嘆いた。


「それは、どうしてなんでしょう?今までは入ってきたんでしょう?」

「それすらも分からないんだ」

それから店主は周りを見渡して警戒するようなそぶりをした後、クラリスに小声で耳打ちする。


「ここだけの話なんだがな、紅茶だけじゃなくて、花も、本も、雑貨も、どの店でも外国産の物が入荷できない状況らしい。騎士団の方々が最近やたら動いているのを見かけるし、もしかしたら、戦争でも起こるんじゃないかって」


クラリスは目を見開いた。
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