国王陛下の極上ティータイム
同盟国であるフォルストによってこの国の貿易、物資の運搬が遮断されている。まさに孤立無援だ。

そしてこの国はフォルストを攻撃しようとしている。おそらくランティスが一声「やれ」と言えば、騎士団はフォルストへ攻撃を仕掛けるのだろう。


クラリスは急いで茶室に戻りブランに伝えることにした。


茶室に戻りブランに伝えると、「そうか」と腕を組み考え込んでいるような低い声で唸る。


「それは困ったことになりそうだな」

「ええ、騎士団の方々は戦いたがっている様子ですし」


彼らは皆、国王陛下の出撃命令を待っている。今か今かと命令が下るのを心待ちにしている。


「ランティス様はきっと戦うことを避けられるだろうな。あの方は戦いは好まれない。よほど手段がないなら話は別だが、そうでない限りは戦わずに済む方法を模索されるだろう」


その話を聞いて少し胸が落ち着いた。そうだ、あのランティスのことだ、きっと戦わずに済む方法を模索しているに違いない。

相手はなにせ同盟国であるフォルストなのだ、できるだけ戦いたくはないだろう。


「同盟国フォルストとは友好な関係を築いていて、前王の時代は国王同士でありながら親友のような仲の良さだった。ランティス様とフォルスト現王は年も近く仲も良い。冗談も言い合うほどなのだがな。まさかそのフォルスト王が裏切るとは」

「ランティス様のご心境もとても心配だ」とブランは溜め息を吐く。


クラリスも胸の辺りで拳を握った。

ランティス様が心配だ。会いに行きたいと、心の底で叫んでいるのに、それに従うことはできないもどかしさが膨らんで苦しい。きっとこんな苦しみより、ランティス様は苦しんでいるのに。そう思うとまた胸が痛んだ。
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