国王陛下の極上ティータイム
「これから会議ですか?」

「ええ」とディオンは眉を下げた。


「騎士団長達がなかなか手強くて、ここ数日は毎日同じ内容を繰り返して…って、申し訳ありません!こんな愚痴のような話をクラリス殿にするつもりでは」


「忘れてください」とディオンは情けなさそうにうなだれる。クラリスは首を横に振って「気になさらないでください」と微笑んだ。


「ここ最近はずっと話し合いがなされていると聞いています。随分お疲れなのでしょう」


するとディオンは厳しい表情で首を横に振った。


「自分などはどうでも良いのです。しかし、ランティス様が…」

「陛下が?」

「お聞きになっているのでしょう。フォルストが裏切ったと。フォルスト現王とランティス様は年齢も近く、幼い頃から親しかったのです」


そう、それは親友のように。そう語るディオンはまるで自分のことのようにとても苦しそうだった。


「それに加えて、毎日続く会議では出陣命令を出せと騎士団長達に要求されています。ランティス様はずっとそれを拒否して、攻撃せずに済む方法を探し続けていらっしゃるのですが、どうにも難しくて」


話を聞きながら、クラリスは胸が痛くなった。自分のことではないのに泣いてしまいそうになった。

ランティスは今何を思っているのだろう。どれほど辛いのだろう。その心境を想像するだけで苦しい。


「私も、何か力になれたら良いのですが」
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