国王陛下の極上ティータイム
「ランティス様!冗談はやめてください!」
「はは、冗談ではないけれどね」
そう笑顔で言い切ったランティスにクラリスは何か言おうとしたが、それより先にランティスが「美味しい茶をありがとう」と言った。
「スペアミントのハーブティーは久々だな」
「王宮のハーブ園に生えていたものを使用しました。採れたてのものですから新鮮ですよ」
「そうか」とランティスはまた一口啜る。ふうわりとスペアミントの爽やかな香りが執務室を満たしていく。
「良い香りだ」
ふう、とランティスは息を吐き出す。クラリスは一つ深呼吸をして「スペアミントの爽やかな香りには、気分を一新させる効果があるそうです」と答えた。
「他にも、ストレスや疲れを和らげる効果もあるそうです。今のランティス様にはきっと必要だと」
ランティスは口に近づけようとしていたティーカップを持つ手を止めて、クラリスを見つめた。
「フォルストの話を聞いたのかな」
少しだけ低くなったその声に緊張しながらも、クラリスは「はい」と確かに頷いた。
「そうか」
ランティスは息を吐き出した。それから執務室の椅子に座り、また一口啜る。