国王陛下の極上ティータイム
断言したクラリスに圧倒されながら、ランティスは目を見開いた。それから俯いて「そうかな」と呟く。

「俺にそんなことができると思う?」

「できます」


いつになく弱気なランティスに一歩近づいてクラリスは微笑んだ。


「貴方はきっとこの国の誰よりこの国を、国民を大切にしている。貴方のような王がいるこの国の民として、それを誇りに思います」


ランティスは言葉が詰まったように呆気にとられたような顔をしてクラリスを見つめていた。それから息を吐き出して頭を抱える。


「まったく、きみは。狙っていないのだから、狡いね」


「きみには驚かされてばかりだよ」とクラリスの頬にそっとその手を添える。


「ありがとう」


ふわり、花が咲くようだった。蕾が色づいて花開くような喜びをクラリスは感じていた。

そしてこの時を切り取ってしまいたかった。この時が、この空間が続けばいいのにと願わずにはいられない。

二人きりのこの空間を、ランティスの手の温度さえ、いつまでも忘れることなく残しておきたい。クラリスはその一つ一つを決して忘れてしまわないように、心に刻みつけていた。

その時突然大きな音を立てて執務室の扉が開けられた。それと同時にランティスの手がクラリスから離れる。


「失礼いたします、ランティス様!」


慌てた様子で入ってきたのはディオンだった。手には資料を持っている。
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