国王陛下の極上ティータイム
「そんな怒らなくてもいいだろう?」
「フォルスト王を迎え入れるのですよ、きちんと準備をなさっているのですか!」
「準備なら終わってるさ」とランティスは言った。
「準備が終わって暇になったからここにいるんだ」
当然だろうとランティスは言いたそうだったが、クラリスはどうにもこの言葉を信じられなかった。どうにも胡散臭いのだ。
確かに胡散臭いのだが、確かに準備は済まされているようで、ランティスはいつもよりも華やかな衣装を身に纏っていた。いつものマントの代わりに、深い藍色の光沢のある高級なものを羽織っている。
「それにしても、なぜこのような場所に…」
フォルスト王を迎え入れるのは、ランティスの応接間だと聞いている。この回廊からはずっと遠い場所にある。
着飾った状態でこんなところまで来るなど、用事がある意外には有り得ない。
ばつの悪そうな顔をしているランティスを覗き込むように見つめると、ランティスは観念したのか溜め息をひとつ零した。
「ここにきたらきみに会えるかと思ったのだが」
こつり、足音を立ててランティスはクラリスに近づく。
「本当に会えた」
にっこり微笑まれたら赤面してしまうのはクラリスの方だった。
「な、にを、おっしゃって__」
しどろもどろになるクラリスに「本当のことだ」とランティスは真面目な顔をした。
「__クラリスに会ったら、きっと元気をもらえると思ったんだ」