国王陛下の極上ティータイム
その笑顔を見て、クラリスは報われたような心地がした。ほっと一息つきたくなるような、そんな感覚が体中を満たしていく。

国王の笑顔は国の宝だ。国王が明るい笑顔をしているだけで、国の未来まで明るくなるような感覚がする。

その時、見計らったようにフォルスト現王の来訪を告げる声が響き渡った。



「さて、我が親友を迎えに行こうか」



ランティスはマントを翻して門へと向かった。


忙しなく準備が進められた王宮も、フォルスト王が来訪する頃には完璧なまでにその準備が終了していた。

突然のことにも関わらず王宮の使用人達が冷静に動いていたこともクラリスには驚きだった。怒号が飛び交うこともあるが混乱しているわけではない。その点は流石王宮使用人だとクラリスは関心していた。

フォルスト王はランティスによって迎え入れられたと王宮内を走り回る伝令役の声が聞こえた。

衛兵の話ではランティスはフォルスト王に対して友好的だが、騎士団は殺気を尖らせているそうだ。彼らは騎士団であるため王であるランティスの言葉がない限りは身勝手な行動には出ないだろうし、ランティスもそのようなことは決して言わないだろうが、それでも殺意を消し去ることはできないのだろう。

ランティスもフォルスト王も大変だとクラリスは気の毒に思いながら茶室に戻ると、ふうわりとした紅茶の良い香りが漂って、クラリスの鼻をくすぐった。

「これは…」


「クラリス、戻ったか」


茶室の奥からブランが声を掛ける。

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