国王陛下の極上ティータイム

ブランから手渡されたメモ書きには前回の買い出しのときよりもずっと多い数の茶葉の種類が書かれていて、クラリスは目を見開いたが、これも今までの状況を考えると致し方のないことだった。


実際に外に出ると、町ゆく人々の表情の明るさにクラリスは驚かされた。

これまでとは全く異なり、快活で楽しいというような晴れやかな雰囲気が街を包んでいる。

フォルストとの関係が元に戻ったからか、物資が行き届くようになったからか。きっと理由は両方だろう。

ランティスがこの街の様子を見たらどう思うだろう。少し考えて、クラリスは笑顔が込み上げてきた。

きっとランティスなら自分のことのように嬉しいと思うのだろうと、その表情まで想像ができてしまったのだ。

市場に近づくにつれ、人の数がどんどん増えていき、市場には沢山の天幕とその間を埋め尽くすほどの沢山の人が押しかけていた。思わず圧倒されるほどの人で溢れかえっている。

クラリスは大きく深呼吸すると決意を固めて市場に飛び込んだ。

人混みをかき分け、一つ一つの天幕に記された店の名前を確認しながら紅茶屋を探す。紅茶屋の天幕は良くも悪くも目立たないため、ぼうっとしていたら見過ごしてしまうのだ。

やがて天幕街の終わりが見えてきた頃、ようやく目的であった紅茶屋を見つけた。

「こんにちは」

「へい、いらっしゃい!__って、王宮勤めのお嬢さんじゃないか」

「久しぶりだなあ」と歯を見せて笑う店主に、クラリスまで笑顔になって「お久しぶりです」と答えた。


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