国王陛下の極上ティータイム
「左から、アップル、オレンジ、レモン、カンコート、グレープ。今日フォルストから入ってきたばかりだ」

「どこよりも早く仕入れられた」と得意げに話す店主の話を聞きながらもクラリスの視線はフレーバーティーに釘付けだった。

そんなクラリスの様子を見てか、店主は「試してみるか?」と声をかけた。

「えっ?」

「ただしこの天幕には湯はねえから王宮でやってくれ」

そう言いながら店主はフレーバーティーの缶も袋に詰めていく。

店頭に並ぶフレーバーティー全ての種類をためらうことなく袋に詰め込んでいく店主の様子に、クラリスは慌てて止めに入る。

「店主、よろしいのですか?こんなに…」

「なあに、このくらいでこの店は潰れたりせんよ」

心配するなと豪快に笑い飛ばす店主だが、ふっと目を細めてこう語った。

「これも俺からの気持ちなのさ。こうして我らが天幕を張れるのも、全て国王陛下のおかげだから」

「国王陛下の?」

突然飛び出した国王陛下という単語にクラリスの胸がどきりと鳴った。

「そこいらにいた騎士団が言うには、国王陛下がじっくりフォルスト王と話したって話だぜ?おかげでフォルストとの関係が寄り深まったって」

「くーっ、国王陛下はやはり優れたお方だ」と店主は腕組みをして唸った。

「無駄な争いを避けられた。そして俺達はまたこうして店ができる」

「そうですね」

ランティスが褒められているのを聞いてクラリスまで嬉しくなった。

ランティスがフォルスト王のことを深く信じていたからこそ、諦めなかったからこその結果だ。

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