国王陛下の極上ティータイム
クラリスはその言葉を聞いて少し笑みが零れた。ブランの言い方が面白かったのだ。

王宮と言えば高貴で、働く人々さえも優雅に思っていたのに、なんだか使用人達の裏事情を聞いたような気持ちになった。


「まあ、奴らのことはどうでもいい。それより午後の茶の支度をせねばな」


ブランの言葉に頷くと、クラリスは仕事のことに脳を切り替える。


「陛下や王女には苦手なものや食べられないものは?それから好みは?」

「そうだな、王女は甘いものをよく好まれている。あまり苦い味のするものはお嫌いのようだ。それと同時に、陛下は茶だけお飲みになる」

「茶だけ?菓子はお好きでないのですか?」

「どうやらそのようらしい。茶について苦手なものはないようだが」

その言葉を聞いてクラリスは考えを巡らせる。国王に苦手なものが特にないのならば、王女の好みに合わせた方が良いのかもしれない。


「午後の菓子は決まっていますか?」

「午後の菓子か、それならば料理長に聞いてみなければ分からないな。よし、案内しよう」


ブランはそう提案する。クラリスは驚いてい「良いのですか?お仕事は?」と尋ねた。


「私の仕事はお茶係。そして先ほど午前の仕事が終わったところだ。それに王太后様から直々にクラリス殿を御案内するよう言われている」

クラリスは頭を下げて「ありがとうございます」と感謝を述べた。


「礼には及ばない。そうと決まれば料理長に会いに行こう」


それからクラリスとブランは料理長に会いに調理場に向かった。
< 19 / 208 >

この作品をシェア

pagetop