国王陛下の極上ティータイム
「大好き」


願わくはどうか、どうかこの先もこの幸せが続かんことを。



「うん、俺も大好きだよ」



聞こえてきたその声にクラリスはぴたりと動きを止めた。

目を見開いたまま、表情が固まったまま、目だけをランティスに向ける。

先ほどまで目を閉じて眠っていたはずのランティスが、そのエメラルドの優しい瞳で、心底嬉しそうな顔で、ニヤニヤと緩む口角を押さえることもせずに、クラリスを見つめていた。


「えっ、え、ら、ランティス様、え、お、おお、おき、おき、えええ?!」


クラリスは驚きと恥ずかしさの波にのまれていつになく混乱していた。そして顔に熱が集まっていくのを感じる。

穴があったら入りたい。入って隠れてしまいたい。むしろ穴を掘ってでも隠れたい。


「ごめんね、クラリスが可愛いからつい」


ランティスは微塵も謝る素振りを見せずに謝る。

口をパクパクさせるクラリスを見て、ランティスはより一層クラリスに対する愛しさを増していた。


「い、いつから起きていらっしゃったのですか?」


平静を装ってそう尋ねると、ランティスは頭の後ろで腕を組みながら「んー、クラリスが部屋に入ってくる前から」なんて答えるからクラリスは絶句した。


「さ、最初っから起きていたんじゃないですか!」
< 204 / 208 >

この作品をシェア

pagetop