国王陛下の極上ティータイム
「っ、分かりました」

「ありがとう」

傍にいると了承しただけですごく嬉しそうな笑顔になる。

まったくこの国の王様は感覚が普通の貴族とは大違いだ。平民がそばにいるだけで喜ぶなんて。

そう思う一方で、けれどランティスのそういうところに惹かれたのだと思うのだった。

「それにしてもよくここに来れたね。薬室命令でこの部屋には許可された者以外は来れなかったはずなのに」

「…ディオン殿の進言で、薬室長の許可がおりました。カモミールのハーブティーをお持ちするようにと」

「へえ、珍しいことがあるんね」と不思議がるランティスに、クラリスは「ランティス様のせいです!」と言った。


「ランティス様が仰ったんでしょう!」


「え、俺が何言ったの?」


「分かってるのでしょう!」


「分からないよ。教えて?」


ランティスはにっこり微笑んだ。

恥ずかしさのあまり顔が朱に染まっていくクラリスが可愛くて愛しくて、つい意地悪をしてしまうのだ。


「っ、だっ、だから、わっ、

……私に、会いたいだとか」


これ以上にない屈辱だとクラリスは思った。

これ以上にない辱めだとさえ思った。

目の前のランティスがとても意地悪な顔をして微笑んでいるのがこれ以上似なく恥ずかしくてたまらなかった。
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