国王陛下の極上ティータイム
まっかに染まった顔と、決して交わらない視線。

それから普段絶対に言わない言葉。

3拍子揃ったそれは、ランティスをときめかせるには十分過ぎた。


「っ、あー…もう、本当に可愛すぎる」


ランティスは溜まらずクラリスを抱きしめた。クラリスは混乱しているが、だからといってランティスはクラリスを放す気になれなかった。

クラリス以上に可愛い生き物なんているだろうかとランティスは思った。

けれど答えは最初から決まっていた。世界中のどこを探してもいるわけがない。

こんなに愛しい存在に会えるわけがない。


「会いたかった」


「はい」


「今日は一緒にいて」


「はい」


さっきまで赤面させられていたクラリスだったが、うってかわってまるで子どものように甘えるランティスが可愛くて、思わず笑みがこぼれる。


「風邪が治るまでいますよ」

「風邪が治ったらいなくなるの?」


ああ、本当にランティスはずるい。


「病気が治っても、ずっとそばにいます」


これしか答えられないじゃないか。誘導尋問だ。

しかしそれをしかけた人物は大満足のようで「じゃあ、そばにいて」とぎゅっと抱きしめる。


「クラリス、好きだよ」


そっとその唇が重なって、クラリスは目を閉じた。



fin.
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