国王陛下の極上ティータイム
ジルダのブレックファスト
「今日からここでお茶係として働かせていただくことになりました、クラリス・リーランです。よろしくお願いします」

王宮のお茶係を任命された数日後、クラリスは王宮付き侍女達と調理場の使用人の前で挨拶をすることになった。もちろんクラリスの隣では上司にあたるブランがついていてくれる。

クラリスはブランの部下という形で王宮に配属された。それを聞いたブランは首の皮一枚繋がったと安堵の声を漏らしたらしい。

簡単に挨拶を済ませ茶室に向かう途中、早速ブランから仕事の話を聞かされた。

「俺達の仕事は簡単だ。茶を淹れるだけ」

それだけ言われても、それはクラリスも分かっている。

納得がいかず不満げな顔をしていると「そう怒るなよ」とブランは笑った。

「やることはそれだけだが、内容はたくさんある。茶について日々精進しなければならない。それに王族の方々の様子も常に見て、必要なら紅茶ではなくハーブティーを淹れるし。茶の仕入れから茶に使う食器の管理まで全てがお茶係の仕事だ」

要するに茶に関わる全てがお茶係の仕事ということなのだろう。オルレアン伯爵家にいた時と比べて、侍女としての仕事がなくなった分、茶のことに集中できるというわけだ。


「それから、伯爵家のときもそうだったかもしれないが、とにかく臨機応変な仕事だ。主人が優先だからな」

クラリスは頷いた。主人をいちばんに優先すること、それは伯爵家でも同じだった。
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