国王陛下の極上ティータイム
人数分の食器を取り出すと、落とさないように慎重に料理場の隅に運んで湯を湧かす準備を始めた。
料理長の計らいで、わざわざ料理場の隅に茶を淹れるための場所を用意してもらったのだ。こじんまりとしていて決して広くはないが、湯を湧かすこともでき、茶を淹れるには充分だ。
やかんに水を入れ火にかけながら、その反対側の棚に収納ある数多くの紅茶の茶葉の缶の中から今日のグレーズに使う茶葉を選ぶ。
カンコートと相性の良い紅茶は、癖のないキーム。これならばカンコートの爽やかさを存分に活かすことができるだろうとクラリスは考えた。
クラリスがキームの缶を手にしたところで、コレット侍女長が料理場に走ってきた。
「王太后様の馬車がお見えになった!」
いよいよ、いらっしゃるのか。
さらにざわめき忙しなく働く使用人達の声を聞きながら、クラリスは深呼吸をしていた。
それから間もなくして、屋敷の外で旦那様と奥様、それから王太后様らしき人物が話している声が聞こえてきた。
これはもうすぐ茶を淹れなければならないだろう。
立ち上がったクラリスに、料理長が名前を呼ぶ。
「ええ、分かっています。そろそろですね」
落ち着き払った態度をとるクラリスに、料理長は一瞬だけ面食らった顔をして、それから笑って「ああ」と頷いた。
「本当にお前は、いつも冷静だな」
料理長は「お前ら、お客人がいらっしゃる、準備をしろ」と大きな声で使用人達に呼びかけた。
大きな返事を聞きながら、クラリスは沸騰したやかんを火から下ろして、ティーポットや茶を美味しく淹れるための準備を黙々と続けていた。
料理長の計らいで、わざわざ料理場の隅に茶を淹れるための場所を用意してもらったのだ。こじんまりとしていて決して広くはないが、湯を湧かすこともでき、茶を淹れるには充分だ。
やかんに水を入れ火にかけながら、その反対側の棚に収納ある数多くの紅茶の茶葉の缶の中から今日のグレーズに使う茶葉を選ぶ。
カンコートと相性の良い紅茶は、癖のないキーム。これならばカンコートの爽やかさを存分に活かすことができるだろうとクラリスは考えた。
クラリスがキームの缶を手にしたところで、コレット侍女長が料理場に走ってきた。
「王太后様の馬車がお見えになった!」
いよいよ、いらっしゃるのか。
さらにざわめき忙しなく働く使用人達の声を聞きながら、クラリスは深呼吸をしていた。
それから間もなくして、屋敷の外で旦那様と奥様、それから王太后様らしき人物が話している声が聞こえてきた。
これはもうすぐ茶を淹れなければならないだろう。
立ち上がったクラリスに、料理長が名前を呼ぶ。
「ええ、分かっています。そろそろですね」
落ち着き払った態度をとるクラリスに、料理長は一瞬だけ面食らった顔をして、それから笑って「ああ」と頷いた。
「本当にお前は、いつも冷静だな」
料理長は「お前ら、お客人がいらっしゃる、準備をしろ」と大きな声で使用人達に呼びかけた。
大きな返事を聞きながら、クラリスは沸騰したやかんを火から下ろして、ティーポットや茶を美味しく淹れるための準備を黙々と続けていた。