国王陛下の極上ティータイム
茶葉と湯を注いだポット、カップとソーサーを台車に乗せて応接室に運ぶ。料理長から「菓子も一緒にお出しする方が良いから」と一緒に運ぶよう頼まれたのだ。
「失礼致します」
室内に入ると、それは上品な身なりの女性が応接室の椅子に座って微笑んでいる。
一度も見たこともないけれどすぐに分かった。
この方が、王太后様。
一礼をして、それから応接室の中にいた侍女達に菓子が載った皿を運んでもらっている間に、クラリスは茶を注いだ。
カップに注ぎ終わると、あらかじめ薄い輪切りにしておいたカンコートを浮かべる。
それを王太后様のもとへ運ぶと「ありがとう」と言われてしまった。
「あなたがクラリスかしら」
突然、王太后様から名前を呼ばれて驚いたクラリスははっと顔を上げて「さようにございます」と答えた。
「茶を淹れるのがお上手なのだそうね。先ほどあなたの主人からお聞きしたわ」
旦那様の方に顔を向けると穏やかな顔を保ちながらもわずかに緊張しているのが分かった。
これで茶がまずかったら、下手するとこのオルレアン伯爵家の存亡に関わると思っていらっしゃるのだろう。
そのプレッシャーはクラリスも感じていた。最初にコレット侍女長から茶を淹れるように言われたその時から感じていたのだ。
しかしこの茶は決してまずくはないはずだ。淹れることに慣れているキーム、そして新鮮で味見もさせてもらえたカンコート。
大丈夫、きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら「は」と頭を下げる。
「本日は菓子に合わせてこちらをご用意しました」
「これは?」
「カンコートのグレーズでございます。茶葉はキームを使用しております」
「失礼致します」
室内に入ると、それは上品な身なりの女性が応接室の椅子に座って微笑んでいる。
一度も見たこともないけれどすぐに分かった。
この方が、王太后様。
一礼をして、それから応接室の中にいた侍女達に菓子が載った皿を運んでもらっている間に、クラリスは茶を注いだ。
カップに注ぎ終わると、あらかじめ薄い輪切りにしておいたカンコートを浮かべる。
それを王太后様のもとへ運ぶと「ありがとう」と言われてしまった。
「あなたがクラリスかしら」
突然、王太后様から名前を呼ばれて驚いたクラリスははっと顔を上げて「さようにございます」と答えた。
「茶を淹れるのがお上手なのだそうね。先ほどあなたの主人からお聞きしたわ」
旦那様の方に顔を向けると穏やかな顔を保ちながらもわずかに緊張しているのが分かった。
これで茶がまずかったら、下手するとこのオルレアン伯爵家の存亡に関わると思っていらっしゃるのだろう。
そのプレッシャーはクラリスも感じていた。最初にコレット侍女長から茶を淹れるように言われたその時から感じていたのだ。
しかしこの茶は決してまずくはないはずだ。淹れることに慣れているキーム、そして新鮮で味見もさせてもらえたカンコート。
大丈夫、きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら「は」と頭を下げる。
「本日は菓子に合わせてこちらをご用意しました」
「これは?」
「カンコートのグレーズでございます。茶葉はキームを使用しております」